米国株に投資する場合、株主総会への出席や議決権行使ができるのか気になっている方も多いようです。今回は国内の証券会社を通じて米国株を保有している場合、株主総会の出席および議決権行使ができるのか解説します。
株主総会とは何か?
株主総会とは、株式会社が株主に対して事業の報告や今後の計画などを報告し、企業経営の方向性を決めるための重要な会議です。
株式会社は株式を発行することで、そこで得た資金を活用して事業活動を行い、そこで得た収益を株主に還元します。そのため、株主は出資者として経営を監視する必要があります。
株主になれば、ご自身が会社の一部を保有していることになりますので、ご自身の利益を守るために、株主総会に出席して経営者の専任や会社が計画している決定事項などに対して賛否を表明する「議決権行使」を行うことができます。
国内の企業であれば、1単元(100株)保有していれば、議決権が1口付与され株主総会に出席することが可能となっています。
株主総会についての詳細は以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
国内の証券会社を通じて保有している米国株で株主総会は参加できない
国内の証券会社を通じて米国株を保有している場合、結論からお伝えすると株主総会への参加はできません。
国内の証券会社で購入した米国株は原則として、証券会社が直接米国の証券取引所を通じて購入しているものではなく、証券会社が取りまとめて、現地の株式保管機関を通じて購入されています。そのため、国内の証券会社を通じて米国株を保有している場合、原則として株式保管機関の名義となっています。
実際にサクソバンク証券とSBI証券、マネックス証券で株主総会や議決権行使について調べてみました。
サクソバンク証券
弊社では、金銭的利益の獲得を目的として外国証券の売買取引を提供しているため、株主優待や株主総会等における議決権の行使といった株主の権利については受けることができません。
配当金や利子等は、お客様にお支払いいたします。
サクソバンク証券公式サイトより引用
SBI証券
当社では、お客さまからお預りしている株式を、外国証券取引口座約款の第15条(外国証券の保管、権利及び名義)の規定により、お客さまから保管の委託を受け、一括して現地の保管機関に当社名義で保管を行っております。 よって、お客さま名義での議決権は発行されない為、株主総会等にご参加していただくことが出来かねます。
SBI証券公式サイトより引用
マネックス証券
お客さまが当社で保有する米国株式につきましては、当社の名義を区分した上で、TradeStation Securities, Inc.名義で保管機関DTC(The Depository Trust Company/デポジトリー・トラスト・カンパニー)に混蔵寄託しているため、お客さま名義の議決権は発行されず、株主総会にご出席いただくことが出来ませんので、あらかじめご了承ください。
マネックス証券公式サイトより引用
国内の証券会社を通じて購入した米国株は、証券会社を通じて間接的に保有していると考えておくと良いでしょう。
ご自身で指示を行えば議決権の行使は可能
国内の証券会社を通じて保有している米国株の場合、株主総会への出席はできませんが、議決権の行使は可能となっています。
ただし、国内企業の株主総会とは異なり、招集通知が届くわけではありませんので、決議内容についてはご自身で調べて、証券会社を通じて賛否を表明する必要があります。証券会社はこの賛否を株式保管機関を通じて議決権行使を行う流れになります。
米国企業であればIRページなどを通じて常に情報収集が可能となっている他、メールでの通知サービスも活用できますので、これらを積極的に活用して常に経営の情報を収集しておくと良いでしょう。ただし、全て英語での情報提供となっていますので、英文が理解できる必要があります。

通信関連の技術者として働いていましたが、その傍ら、株式投資を10年以上行ってきました。現在は、仕事で得たITの知識を生かしてインターネットを中心とした情報媒体の運営やサイト制作などを行っています。現在FPの資格取得を目指して勉強中。
サクソバンク証券

サクソバンク証券はデンマークを拠点に展開している投資銀行「サクソバンク」傘下の証券会社で、米国株が約6,000銘柄、欧州株が約2,400銘柄、中国本土と香港株合わせて約2,400銘柄と、ネット証券の中で米国株の取り扱いが豊富でかつ、国内の証券会社では取り扱いが少ない欧州株の取り扱いがあるのも特徴です。
売買手数料も米国株であれば約定代金の0.20%で最低手数料が5米ドル、上限が15米ドルと米国株を中心に取引を行う方であれば、大きくコストを抑えることが可能です。欧州株の売買手数料は約定代金の0.50%とこちらも低コストで売買可能となっています。
マネックス証券

マネックス証券は、米国株約3000銘柄を扱っており、ネット証券の中では最多となっています。成長が著しいAppleやMicrosoftなども1株から購入可能で手数料も最低0ドルから最大20ドルと気軽に米国市場へ投資が可能です。
少額投資非課税制度(NISA)でも米国株の購入が可能で、NISA口座であれば買付手数料が無料となります!
SBI証券
https://www.sbisec.co.jp/
ネット証券で口座開設数が430口座突破したSBI証券でも米国株を取り扱っています。取扱銘柄数は1000銘柄以上で、こちらも手数料は最低0ドルから最高20ドルで購入可能です。また、上場とし信託(ETF)をNISA口座を利用すれば買付手数料が無料となります。
SBIグループの住信SBIネット銀行の口座を持っていれば、日本円から米ドルに為替手数料が片道たったの4銭で利用できる他、外貨入出金サービスを利用することで同行の外貨預金口座から即時外貨を証券口座に無料で振替できます!
楽天証券
https://www.rakuten-sec.co.jp/
楽天証券では約1000銘柄以上の米国株を取り扱っています。同社でも手数料は最低0ドルから最高20ドルで購入可能です。また、こちらもNISA口座での米国株の購入も可能で、上場投資信託(ETF)の場合、買付手数料が後日キャッシュバックされますので実質手数料は無料となります。

通信関連の技術者として働いていましたが、その傍ら、株式投資を10年以上行ってきました。現在は、仕事で得たITの知識を生かしてインターネットを中心とした情報媒体の運営やサイト制作などを行っています。現在FPの資格取得を目指して勉強中。