香港上場中国企業の所在地がケイマン諸島やバミューダ諸島が多い理由とは?

香港証券取引所に上場している中国上場企業を中心に、所在地が中国本土ではなく英領のケイマン諸島やバミューダ諸島に登録されているのを目にします。そもそも何故、中国本土ではなく英領2諸島になっているのか、その理由を解説します。

ケイマン諸島とバミューダ諸島の概要

はじめに、中国の香港上場企業の多くが所在地として登録しているケイマン諸島とバミューダ諸島について簡単に紹介します。

ケイマン諸島は、カリブ海西に浮かぶ島でキューバの南側に位置しており、英国の海外領土となります。人口は5万人程度です。島の発見は1503年にコロンブスの4回目の航海中に発見されていると言われ、ウミガメとアメリカワニが多く生息していたことから、カリブインディオの言葉でワニを意味するケイマスという言葉をとって「ケイマン」と名称を名付けたと言われています。

現在の英国領になったのは1650年以降で、当時スペイン領であったジャマイカを英国海軍が奪ったことで、1670年のマドリード条約でジャマイカとケイマン諸島を英国領としました。その後、1962年にジャマイカが独立し、現在もケイマン諸島は英国領として存続しています。

バミューダ諸島は、米国の頭部北大西洋に浮かぶ島で、ケイマン諸島と同様に英国の海外領土となります。人口は約6万5,000人です。島は1,500年にスペインの探検家によって発見されたとされていますが、長らく無人島であったものの、1600年代に英国から米国への入植者を載せた船が嵐に巻き込まれ、8隻の内1隻の乗客乗員がバミューダ諸島に辿り着き、それを機に本格的に人の定住が始まったとされっています。

ケイマン諸島やバミューダ諸島は、きれいな海岸も多くリゾート地として観光需要も多いほか、租税回避地としても知られており、資産運用会社など金融業も多く進出しており、世界の中でも金融センターとしても発展しています。



外国資本による直接出資制限を回避目的

中国の香港上場企業の多くが、英領2諸島を所在地としている理由の一つとして、中国では交通関係や情報媒体事業を中心に、外国資本による直接出資を制限していることが挙げられます。

外国から資金調達を行いたい場合、中国を所在地として登録すると、外国からの資金調達手段が限られることから、ケイマン諸島やバミューダ諸島を所在地とすることで、建前上外国企業とすることで、外国からの投資資金を呼び込む狙いがあります。

阿里巴巴集團の場合は、持株会社をケイマン諸島とし、その傘下に子会社がぶら下がっていますが、中国国内に子会社を設立することで、子会社に調達した資金を供給し、中国国内を中心に事業活動で得た利益を、持株会社を通じて、中国国外の投資家に間接的に分配する形をとっています。



事業活動で得た利益に対する税金の節約目的

中国の外国資本による直接出資制限を回避する目的の他、支払い税金を節約する目的としてケイマン諸島やバミューダ諸島に所在地を設ける理由としても挙げられます。

節税目的については、中国企業に限らず多くの国の企業が行っていますが、前述したとおり、英領2諸島は租税回避地としても知られています。ケイマン諸島やバミューダ諸島以外にも、バージン諸島なども有名です。

ケイマン諸島やバミューダ諸島の場合、事業収益や資産に対する課税が行われないほか、銀行取引の内容が法律で秘匿されていることから、中国本土で所在地とするのと比べると、税金の面でも多く節約が可能となります。

また、中国企業の場合、香港証券取引所に上場する企業も多いですが、ケイマン諸島とバミューダ諸島に所在地を置く企業の上場を認められています。一方で、バージン諸島を所在地としている場合、香港証券取引所上場は認められていません。



英領2諸島を所在地とする中国企業に投資するリスク

中国の香港上場企業の多くが英領2諸島を所在地として、外国から資金調達及び節税を行っていますが、これはあくまでも中国政府による外資規制の抜け道として活用されていることから、今後、中国政府がこれらの規制に動いた場合におけるリスクが高いことを承知しておく必要があると言えます。

現状で中国政府は黙認していることは予想されていますが、現在中国政府はIT企業を中心に独占禁止法など規制を強めており、今後の動向にも注意しておく必要があります。

しかしながら、近年では中国政府においても、中国本土企業に対して外国資本からの直接投資を緩和をしており、上海証券取引所や深圳証券取引所のA市場において外国人にも市場を開放するなど、外国人が投資しやすい環境にもなりつつあります。

市場全体の動向もしっかりと情報収集しておき、分散投資を心がける必要があると言えそうです。



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出典:サクソバンク証券

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ネット証券における中国株の取扱銘柄数と手数料についての詳細は以下の記事でまとめていますので合わせてご覧ください。

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