英領2諸島(ケイマン諸島・バミューダ諸島)登記中国上場企業投資時の税制度を解説

香港証券取引所に上場している中国企業において、中国本土ではなく香港やケイマン諸島、バミューダ諸島の英領2諸島が登記地となっている企業が多いです。今回は、香港証券取引所に上場している中国企業で中国本土以外の英領2諸島で登記している企業の税制度について詳しく解説します。

香港上場中国企業の8割がケイマン諸島とバミューダ諸島に登記

香港証券取引所上場企業登記地(香港証券取引所のデータを元に筆者作成)

香港証券取引所に上場している中国企業は、中国本土ではなく、英領のケイマン諸島もしくはバミューダ諸島に登記しているケースは多いです。

香港証券取引所では、中国企業が上場する際、メインボード市場のうち、中国本土企業は「香港H株」、中国企業の香港法人は「レッドチップ」の2つの市場に上場します。一方で、事業活動の拠点は中国本土が中心であっても、実際の法人登記地としては、ケイマン諸島やバミューダ諸島としている企業は、香港上場企業の約8割となっています。

ケイマン諸島やバミューダ諸島に登記している理由としては、以下の記事でも解説していますが、外国資本による直接出資制限の回避目的の他、事業活動で得た利益に対して課税される税金を節税する目的があります。

香港証券取引所に上場している中国上場企業を中心に、所在地が中国本土ではなく英領のケイマン諸島やバミューダ諸島に登録されているのを目にします。そも...

また、香港証券取引所に上場する場合、詳しくは後述していますが、中国本土企業として上場するより、香港法人としてレッドチップに上場することで、投資家への配当金分配時の課税が免除されるほか、ケイマン諸島やバミューダ諸島に登記している企業の上場も認められています。



香港上場英領2諸島登記中国企業の売却益は現地では非課税

香港証券取引所に上場している、中国企業の内、ケイマン諸島もしくはバミューダ諸島に登記している企業の株式を売却して、売却益を得た場合は、売却益に対して現地(香港)では課税されません。

これは、香港に限らず、米国や欧州、中国本土企業でも原則として現地では売却益の課税はありません。

一方で、売却した資金は現地では課税されませんが、日本国内では譲渡所得として20.315%が課税されます。証券口座種別が特別口座(源泉徴収あり)の場合は、証券口座に入金された時点で自動的に源泉徴収が行われます。一般口座もしくは特別口座(源泉徴収なし)の場合は、源泉徴収が行われませんので、ご自身で確定申告を行い、税金を支払う必要があります。

中国株の売却益の税制についての詳細は以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧下さい。

中国株に投資して売却する場合において、売却益を得た場合は譲渡所得として取り扱われ金額に応じて課税されます。今回は、中国株を売却した際に得た売却益...

一方で、少額投資非課税制度(NISA)口座で取引している場合、売却益が得られた場合でも課税されません。また、確定申告も不要なため、少額で中国株に投資したいと考えている場合は、NISA口座の活用もおすすめです。中国株でNISAが利用できる証券会社はSBI証券マネックス証券楽天証券が利用できます。マネックス証券は香港証券取引所に上場している中国株2,000銘柄以上取り扱っており、手数料は0.25%とネット証券の中ではお得に取引ができます。



香港上場英領2諸島登記中国企業の配当金も現地では非課税

香港証券取引所に上場している中国企業の内、ケイマン諸島もしくはバミューダ諸島に登記している中国企業から配当金を得た場合においても配当金に対しても課税されません。

香港証券取引所に上場している中国企業香港法人もしくは香港現地企業の場合においても、配当金に対して課税されませんが、これは、英領2諸島に登記している企業も同様となります。ただし、以下の記事で詳しく解説していますが、中国本土に登記してる場合は、現地で10%が課税されます。

中国株への投資において、投資先企業より配当金を受領した場合、受領額に応じて課税が行われます。今回は、中国株における配当受領時に税制度を解説します...

しかしながら、現地では課税されませんが、日本の証券口座に入金される際に、日本国内で口座種別問わず配当所得として20.315%が源泉徴収されます。

中国企業香港法人、香港現地企業、英領2諸島に登記している企業の場合は、現地での課税がありませんので、実質日本企業から得られる配当金の税額と同様となります。

中国本土企業や米国企業の場合は現地で10%課税された後に、日本でも課税が行われるため、二重課税を調整するため、外国税額控除が適用できますが、中国企業香港法人、香港現地企業、英領2諸島から得られた配当金については、現地での課税が行われませんので、外国税額控除の適用を受けることはできません。



中国税務当局の判断によっては香港と英領2諸島登記企業でも配当に課税される場合もあり

香港証券取引所に上場している、中国企業香港法人、香港現地企業、英領2諸島に登記している企業から支払われる配当金については、現地で課税は行われませんが、これは必ずしも保証されているわけでないことに注意が必要です。

中国税務当局の判断によって「非本土登記居住企業」と判断された場合、香港や英領2諸島で登記している企業であっても、配当金に対して10%が課税される企業も存在します。

例えば、中国の大手携帯電話通信会社である中国移動通信(0941.HK)については、香港法人として上場していますが、事業活動の大半が中国本土で有ることに加え、経営陣の大半が中国本土に在住している、経営に関する職責や履行する場所が中国本土で有ることなどを理由により、配当支払い時に10%が課税が行われています。

そのため、現時点で配当金に課税されていない場合でも、中国税務当局の判断によって、配当支払い時に課税される可能性もありますので、日々の情報収集を行うことが重要です。

中国株の投資におすすめな証券会社

出典:サクソバンク証券

中国株への投資を検討している場合、中国株の取り扱いが豊富な証券会社を選ぶことが重要です。国内のネット証券で中国株の取り扱いが豊富なのは、デンマークの投資銀行サクソバンク傘下のサクソバンク証券の他、マネックス証券SBI証券楽天証券がおすすめです。

サクソバンク証券 楽天証券 SBI証券 マネックス証券
手数料 0.20% 0.5% 0.26% 0.25%
上海証券取引所 161銘柄 235銘柄 取扱なし 取扱なし
深圳証券取引所 97銘柄 取扱なし 取扱なし 取扱なし
香港証券取引所 1733銘柄 719銘柄 1500銘柄 2058銘柄

サクソバンク証券は香港証券取引所のみならず上海証券取引所、深圳証券取引所に上場している銘柄の取引が可能で取扱銘柄数は1733銘柄となります。香港証券取引所に限っては、マネックス証券が2058銘柄と国内の証券会社では取扱数が多いです。

ネット証券における中国株の取扱銘柄数と手数料についての詳細は以下の記事でまとめていますので合わせてご覧ください。

世界一の人口を有しており、今後も世界を牽引する経済成長が期待できる中国市場は長期的に株式投資においても有望な市場です。今回は国内で展開しているネ...
外国株の投資におすすめできる証券会社

サクソバンク証券

サクソバンク証券はデンマークを拠点に展開している投資銀行「サクソバンク」傘下の証券会社で、米国株が約6,000銘柄、欧州株が約2,400銘柄、中国本土と香港株合わせて約2,400銘柄と、ネット証券の中で米国株の取り扱いが豊富でかつ、国内の証券会社では取り扱いが少ない欧州株の取り扱いがあるのも特徴です。

売買手数料も米国株であれば約定代金の0.20%(税込)で最低手数料が5米ドル、上限が15米ドルと米国株を中心に取引を行う方であれば、大きくコストを抑えることが可能です。欧州株の売買手数料は約定代金の0.50%(税込)とこちらも低コストで売買可能となっています。

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株式投資で外国市場に分散投資するにあたり、国内の証券会社であれば取扱銘柄が少ない問題があります。今回紹介するサクソバンク証券は米国と欧州を始めと...

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